愛馬軽トラ「リュウ」に乗る
軽トラの利点の第一は、乗ってすぐに冷暖房効果が生じる点にある。ほとんどが一人なのだから後部座席や荷台にまでエアコンの風を分散することはない。今日はまるで初夏どころか真夏のような陽射しである。こんな日は特にこのことを強く感じる。
次に何と言っても燃費効率が高い。それはそうだろう。余分な鉄を使っていないのだから、まことに尻軽である。腰の重い私を尻目に、さっそうと低燃費で働いてくれる。長い物も重い物も土や油が付いたものも、水気のある物も、へっちゃらで厭わない。
この適度に高い座席は、見晴らしが良いというのも愛馬の愛馬たる所以である。愛車というのは、どこかお坊ちゃんお嬢さんのように気取っていて、世話がやける。つまり、ちとメンドくさい。この歳になると人に対しても自分に対しても、構えるというのが一番億劫に感じるのだ。ちょっとした上から目線で運転できるのは、理屈抜きに運転しやすい。
雨の時でも、風の時でも、雪の時でも、現代の愛馬軽トラは、嫌がらず走ってくれる。意外とタフで、故障知らず。よく見ると耳や目もある。鼻もある。余計なことは何も言わない。黙って聞いてくれる。勝手につけた名前「リュウ」号をそっと呼んでみる。「リュウ、行くぞ!」