水芭蕉に癒される傷心
小雨に煙る水芭蕉の中を
傘にもたれながら歩いた
ここは三田の永澤寺(ようたくじ)
水芭蕉?花菖蒲園で有名であるとの
ガイドさんの説明のとおり
今が見頃、味わいごろだった
株分けをしてもせいぜい三年が限度とか
徐々に色褪せていくという
花が小さくなっていくという
ミズバショウの花が咲いてる
懐かしいフレーズが口をついてくる
夏がくーれば想い出すー
はるかな尾瀬、遠い空
あれから何年経ったのだろうか
遠い昔のようであり
ついこないだのような気もする
顔の表情は穏やかであるのに
心の外側は小さな傷だらけ
血が滲んでいる
やはり別れはつらい
いたいけのない子供達に
さよならを告げるのは
今はすっかり年老いた昔の子供達
そのはしゃいだバス旅行の終える頃
昔の少女がポツリとつぶやいた
「たった一年でこんなに変わるとは」
今は亡き人、
入院した人、
田舎を出て行った人、
そして去ろうとしている者。
みんな子供だった頃
映画のシーンのように
一瞬、全員が子供に変身した。